こんにちは、中小企業診断士×薬剤師の「はらだ」です。
前回の投稿では、形骸化しがちな目標管理制度(MBO)を生きた仕組みに変えるには、社員自身が「自分のなりたい姿」を明確にし、会社の方向性との共通項を見つけることが本質であるとお伝えしました。
そのための最初のステップとなるのが「自己理解」です。
自己理解と聞くと、就職活動や転職活動の際の「自己分析」を思い出す方も多いかもしれません。しかし、日々の仕事に追われ、心に余裕がない状況だからこそ、改めてじっくりと自分自身の内面と向き合う時間が価値を持ちます。
今回は、日々のモチベーションの源泉となる「自分の価値観」を導き出し、組織の中で活かしていくための具体的なプロセスを解説します。
ステップ1:原体験から「価値観を言語化」する
自己理解の第一歩は、自分が大切にしている価値観を明確にし、言葉に落とし込むことです。そのために、過去の「原体験」を振り返ることから始めます。
これまでの人生の中で、重要だと感じたこと、喜びや憤り、あるいは悲しみを強く感じたエピソードを思い出してみてください。心に残る出来事の中には、あなたの「価値観の種」が必ず隠されています。
例えば私の場合、以下のような原体験があります。
学生時代の夏の剣道大会でのことです。チーム内で明確な目標を共有し、厳しい練習を重ねる中で、チームが一つにまとまっていく強い手応えを感じました。結果は団体戦で優勝。個人としても良い成績を上げられましたが、それ以上に「チームが団結し、一つの目標を勝ち取れたこと」自体に、言葉にできないほどの感動を覚えました。
このエピソードからキーワードを抽出すると、「目標」「団結」「チーム」「挑戦」「成長」といった言葉が見えてきます。
このように、まずは最低4つ程度のエピソードを思い出し、そこから合計20個ほどのキーワードを抽出してみてください。
キーワードが出揃ったら、次の手順で整理を行います。
- 言葉の集約:同じ意味合いの言葉を一つにまとめます(例:「レベルアップ」「前進」などがあれば「成長」に統合する)。
- 優先順位付け:整理したキーワードの中から、自分にとって特に重要だと思えるものを上から5〜6個選びます。
- 関係性の整理:選んだ言葉同士がどう繋がっているかを整理し、簡単な「価値観マップ」を作成します。

ステップ2:他者やAIの視点を取り入れて「価値観を客観視」する
価値観マップができたら、可能であればその内容を他者と共有してみることをおすすめします。パートナーや気の置けない友人、両親など、話しやすい相手で構いません。できれば相手にも同じワークを行ってもらい、お互いのマップを見せ合えると理想的です。
「自分の価値観を人に見せるのは恥ずかしい」「共有する意味があるのか」と感じる方もいるかもしれませんが、これには2つの大きな意義があります。
① 自分の「当たり前」を客観視できる
自分で抽出したキーワードは、自分にとってはあまりにも当然の性質であるため、最初は目新しさを感じないかもしれません。しかし、他人のマップと比較したり、意見をもらったりすることで、「これは他の人にはない、自分独自の価値観だったんだ」と客観的に気づくことができます。
② 相互理解が深まる
相手の価値観マップを見せてもらうことで、身近な人の内面にある大切にしている想いを知ることができます。「外側からはこう見えていたけれど、実はこうした価値観を軸に動いていたんだ」という発見があり、お互いの関係性をより強固にする副次的な効果が得られます。
どうしても他人に共有するのがためらわれる場合は、生成AIを活用する方法も有効です。 作成した価値観マップをAIにインプットし、「客観的なフィードバックをください」と投げかけてみてください。的確な分析を返してくれるはずです。その際、単に回答に納得するだけでなく、「なぜそのように分析したのか」「この価値観は仕事においてどんな強みになるか」と追加で深掘りの対話を重ねることで、自己理解はさらに深まります。
ステップ3:所属する組織との「共通項」を探す
客観視された自身の価値観が定まったら、最後に、現在所属している組織の理念や方向性と「重なる点」を探します。
会社の経営理念やビジョンがある場合は、それと自分の価値観マップを照らし合わせます。もし明確な理念が明文化されていない場合は、会社のHP情報、今期の目標、あるいは現在動いているプロジェクトの概要などの情報を集めてみてください。社内のキーマンに「この会社はどんな方向を目指しているのか」を直接ヒアリングしてみるのも手です。
これらの情報を生成AIに与え、「この組織が大切にしている価値観は何か」を客観的に抽出してもらい、自分の価値観と突き合わせてみるのも良い方法です。
ここで大切なのは、「会社の理念と自分の価値観が、100%完璧に一致していなくてもいい」ということです。一部でも重なる点を見つけることが重要です。

例えば、以下のような気づきが得られるだけでも、働く意味は大きく変わります。
「現在の業務内容は、自分が本来やりたかった領域とは少し違うかもしれない。しかし、会社が掲げる『地域貢献』や『挑戦』という価値観においては、自分の価値観と確かに同じ方向を向いている。まずはこの重なる部分を意識して、日々の業務に取り組んでみよう」
組織のベクトルと自分のベクトルが交わる箇所が見つかれば、それは「自分がその組織に身を置く固有の動機」となり、日々のモチベーションや仕事への納得感に大きな違いをもたらすはずです。
まとめ
目標管理を「やらされ感」で終わらせず、自走する組織を作るための土台として、今回は「自己理解」のプロセスをお伝えしました。
- 原体験の振り返りによる価値観の言語化
- 他者(またはAI)の目を介した客観視
- 組織の理念との共通項の探索
このステップを踏むことで、組織の目標達成と個人の成長がリンクする「本来の目標管理」への道筋が見えてきます。ぜひ、少しの時間を確保して、ご自身の価値観を整理してみてはいかがでしょうか。
では、また!



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